S氏のミニプレゼンは『今年の秋の美術展 ~ Art Exhibition in this autumn』です。今年は春頃からコロナが少し下火になりS氏も秋頃から大好きな美術館巡りを再開。2年前に東京と神戸で開催予定であった『芸術✖️力 ボストン美術展』の吉備大臣入唐絵巻、コロナのために開催延期となりました。さて、今年改めて特別展が開催となったものの東京のみだったので、足を運ばれて東京へ。重ねて10月に東京丸の内に移転した静嘉堂に展示されている国宝・曜変天目(茶碗)を見に行かれました。
1. 『芸術✖️力 ボストン美術展』東京都美術館
2.『響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき』静嘉堂@丸の内
このメイン2点の作品についてプレゼンをしていただきました。
M氏のミニプレゼンは『TOPICS for December 2022』トピックは九州の離島の温泉のお話。Alex Hutchins、米国生まれでコーネル大学で日本近代史と宗教学を専攻した彼は数々の温泉に足を運びましたが屋久島での体験は忘れられないようです。目の前には真っ青な海が広がりその手前の波打ち際に黒い火山岩、そこに3つの温泉が。誰もいないこの場所で彼は衣服を脱ぎ恐る恐る中に入ってみる。山歩きの疲れから眠り込んでしまった彼は次に気づいたときにはゆっくりと沸騰していく鍋の中にいるロブスターのようになっていったそうです。何かくすぐったさを感じ、身悶えするような感覚。慌ててこの安らぎの場所を後にした彼は最後にこの海の写真をとっておこうと振り返ったとき、平打海水温泉と看板に書かれてあったそう。文字通り海の中の温泉だったということです。私は屋久島にいったことがありませんが、私の周りで何人か屋久島を訪れていて写真をみせてもらったことがあります。自然の神聖さを強く感じました。
M女史は『Asuka Nabe 飛鳥鍋 and History of cheese in Japan』についてです。飛鳥鍋をご存知でしょうか?私は初めてこの鍋について知りました。鶏ガラのダシに牛乳を加え、白味噌、醤油、砂糖で調味し、鶏肉と野菜を煮込む鍋料理だそうです。 この鍋は飛鳥時代に唐僧によってこの地にもたらされたもので当時は寒さをしのぐのに山羊の乳を使用していたそう。チーズは飛鳥時代にはすでに知られていた食材だったようです。仏教の大乗経典『大般涅槃経』の中に5味として乳→酪→生酥(しょうす)→熟酥→醍醐と精製され一番おいしいものとしてこの経典に書かれているそうです。酥は蘇とも漢字で表記されます。さて、M女史の話の中で印象的だったのが熟酥、これはjukuso, もしくはsapis butterと呼ばれています。皆さんよくご存知の『カルピス』のカルはカルシウムのカル、そしてこのsarpisのpisがらカルピスとよばれるようになったそうです。海外でもカルピスは販売されていますが、英語圏でpisは尿という意味になるので、北米圏では名前がcalpicoという名前で販売されています。