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8月に想うこと・・・。

今日から8月がスタート。174.png 暑い暑いといううちに暦の上では立秋になりお盆がやってくる。日本のお盆は昔の中国で陰暦7月15日の中元節に催された盂蘭盆会と日本古来の諸々の風習が結びついたもの。今でも七月盆の地方もあるけど、関西の多くの地域で八月盆が一般。京都ではお盆の最後、8月16日に『五山の送り火』が催される。お盆が過ぎてしばらくすると、地蔵盆がやってきて、子供たちが大きな数珠の周りに座り数珠を回しながら『元気で健やかに成長できること』を祈願する。これは8月23・24日頃、町角のお地蔵さんを祭る(祀る)町内行事であるが近頃は、こういった行事も少なくなってきた。さて、この地蔵盆がすぎると8月も下旬を迎える。まだ暑い時期ではあるが、夏もいよいよ終わりという気配を感じる。8月は精霊との交感を測る行事が多いのが目につく。春や夏を支配した陽の気が次第に衰え、陰の季節である秋や冬へと移行する境目の時期であり、この境目に精霊と生者が出会うことであるのだろうか。人は長い生命の連鎖を受け継いで生きるものだとこの時期になるとしみじみ思う。

さて、日本では8月が精霊と近く感じる時期であるのに対して、フランスでは、11月1日に「諸聖人の日」を祝う。この日はカトリック教会の祝日のひとつで、すべての聖人を記念する日で、古くは「万世節」と呼ばれていた。今ではキリスト教の一行事となるのだが、キリスト教以前において、コンセプトはお盆と同じで死者の霊がこの世に戻ってくるとされていた。
10月にも入ると、ヨーロッパ北部は太陽の光も弱くなり、日も早く落ちる。陽から陰を感じる時なのだろうか。

だいぶ前にSerge PEYによって書かれたポエムを読んだことがある。タイトルは''Poème du 15 Octobre, 24 heures'' 決して夏の陽の発想で書かれた詩ではない。冬支度を始める前の10月。ヨーロッパではこの10~11月が陰への移行の時期かもしれない。日本もお盆の季節は、まだまだ残暑もきつく秋を連想としないのだが、暦の上では秋。まさに季節が移る境目なのだ。月は違うのだが、何か近い感覚を感じる。

''Poème du 15 Octobre, 24 heures'' Serge PEY

Si on me demande
où est ma patrie,
je peux répondre
en passant d'un mort
à l'autre
ou d'un enfant
à l'autre

car les enfants et les morts
sont dans la légende d'un bouche
que nous construisons

Etre vivant
signifié parler avec os:

Les os de ceux qui sont morts,
avec les os de deux qui vont naître

Chaque parole est une vertèbre
dans l'infini
des cimetières
oui viennent
et des enfants qui les détruisent

si on me demande
oùest ma patrie,
je répondrai:
dans la bouche d'un enfant

car tout enfant
est le père de ma parole
et la mère de ma mère


10月15日 24時の詩

おまえの祖国はどこになる
とひとに尋ねられたなら
ぼくは答えることができる
ひとりの死者から
もうひとりの死者へと移り行くことによって
あるいはひとりの子供から
もうひとりの子供へと移りゆくことによって

なぜなら子供たちと死者たちは
僕たちが作り上げる
ひとつの口の伝説の中にいるのだから

生きているということは
骨と話すことを意味する

死んでしまった者たちの骨ばかりか
これから生まれ出ようとする者たちの骨をも
含めて
ひとつひとつのことばは
訪れる
墓場と
墓場を打ち壊す子供たちとの
無限の連鎖の中の一本の椎骨だ

おまえの祖国はどこにある
とひとに尋ねられたなら
ぼくは答えるだろう
ひとりの子供の口の中にと。

なぜならおよそ子供というのは
ぼくのことばの父であり
ぼくの母の母でもあるのだから

(T.M.)



by connection-eigo | 2017-08-01 13:05